- ナノ -


496

 竜がしまった、というように首を垂れる。そんな竜の影に入って喜んでいるのは、仔竜と人の子たちであった。影踏みなら負けないもんね、と人の子のひとりが言えば、仔竜もぴょんぴょんと跳ねて嬉しそうにする。
 街の広場に、ひと足先に春が来たような賑わいだ。


[