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 とりあえず強く羽ばたき続ければ、より高く、遠くへ飛べるだろうか。竜は時間を掛けて体調を整え、体力をつけて空へ繰り出した。調子がいい気がする。そう思った、そのときだ。
 がむしゃらに飛んでもいいことないぜ。横から、藍色の鱗の竜に声を掛けられた。彼の言う通り、今度は、風をみてそこに翼を乗せるように羽ばたいた。すると、驚くほど軽やかに、無理なく飛んでいける。竜は目を丸くした。
 自己流もいいけど、たまには誰かの言葉を聞くのもいいだろ? と、藍色の竜は片目を瞑った。


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