- ナノ -


487

 人の子は、ただ立ち尽くしていた。何もない草原、遠くまで広がる空と雲に、虚ろな眼差しを向けながら。竜は地上に舞い降り、子に声をかけた。学ばなければならいことがたくさんある。それでも、共にゆくか。子は竜の脚をぎゅっと掴んだ。いきたい。子の瞳がそう言うように、ぴかりと光った。


[