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 あれよあれよという間に、竜は村から追い立てられた。目を瞬かせる竜に、村からこっそり少女が出てきて、頭を下げる。曰く、昔この村を破壊しようとした竜たちがいた。その竜たちから村を守ったと言われる聖竜のみが、竜族の中で唯一、村に入ることを許されているのだという。
 竜はそうとは知らず村に立ち入ったことを詫びた。少女は見えなくなるまで、村の入り口で竜を見送ってくれた。


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