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 実際、俺はそんなに竜が好きじゃないんだ。犬や猫の方がどんなに可愛いことか。彼は鞍を竜から丁寧に外しながら、そんなことを言った。竜はほう、と相槌を打つ。彼は言葉を続けた。竜も人のことをそんなふうに思ってるかもしれない。けどまあ、何故かお互い、今ここに一緒にいる。それってなんかの意味があるのかもな。
 そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。真面目な顔をしてそう返した竜に、そこはそうだなって頷くところだろう、と彼は戯けて笑った。


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