- ナノ -


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 雪の坂道を、ころころと二つの雪玉が転がっていく。誰かが上の方から落としたのだろうか。そう考えて竜はその主を探したが、見当たらない。そのとき、雪玉が急に止まったかと思うと、空を飛んでいる竜に向かって手を振った。雪玉の正体は、子どもの雪竜たちだったのだ。身を丸めて坂道を滑り降りていたらしい。にっこり笑って、竜は彼らに手を振り返した。


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