- ナノ -


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 朝起きたら、外は見渡す限りの白い景色。雪だ、と人の子ははしゃいで家を飛び出して行った。犬も尻尾を振りながらついていく。雪は冷たいし、いろいろしんどいことも多いけどさ、と人の子の兄は竜に言った。あの胸が弾むような気持ち。忘れたくないなって思うんだ。
 そうだな、と頷く竜に微笑み、兄は襟巻きを手に取る。今日は僕も、あいつに倣うよ。そう言って、雪の世界に飛び込んだ。


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