- ナノ -
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こんなふうに、尻尾に抱きつく人の子がいてな。竜は前脚で尻尾を抱えるような仕草をしてみせる。飛べないけれども走るのが得意な走竜が、その話を聞いて頷く。私の脚にも、よくぎゅっとしてくれたものだよ。
またあんな日が来るといいのだが、と竜。少しの沈黙の後、きっと来るよ、と走竜は昇りゆく太陽を眺めながら言った。
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