- ナノ -


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 すまないね、とその茶色の鱗の竜は言った。約束、守れそうにない。
 共に人のゆく先を見届けよう。竜と茶の竜は、かつてそう誓った仲だった。しかし、致命傷を負ってしまった茶の竜に、もはや助かる見込みはない。弱々しくもしっかりと笑って彼は願いを託した。僕の分まで君が見届けてくれ、と。
 涙が溢れていたかもしれない。それでも竜は、懸命に頷いた。茶の竜も頷き返し、そして、動かなくなった。


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