- ナノ -


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 眼下の人里から、突然火の手が上がった。瞬く間に燃え広がってゆく。いくら竜でも、ここにいる全員を安全な場所に運ぶのには時間がかかりすぎる。水を操る力があれば……そう思ったとき、竜は閃いた。水は使えなくても、この翼がある。
 竜は恐るべき速さで風を切って飛ぶと、知り合いの小さな水竜を背に乗せて戻った。水竜の吐く強力な水で火は収まり、幸い、人々は皆助かった。


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