- ナノ -
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想像してみてよ、と少年は言った。うんと近くにある雲。いっしょに羽ばたく鳥たち。ずっと向こうの山とか海とか、街まで見える。空を飛ぶのって、きっとすてきなことがいっぱいだよ。
少年の腕の中で、仔竜が身じろぎする。そのときだ。翼が風を捉えた。ふわりと宙に舞い上がる仔竜。少年は、ぱっと顔を輝かせた。仔竜が今、初めてその翼で飛んだのだ。
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