- ナノ -
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地面だけではない。厳しい寒さと雪で、冬枯れた草木にも重く厚く雪が積もっている。音までもが凍るような一面の白。その光景が永久に続くと思われた。
そのときだった。翼竜が声をあげた。竜が翼竜の視線を追うと、小さな赤い実をたわわにつけた一本の木がある。一粒一粒に雪は容赦なくのしかかっているが、実はその冷たさ、白さに負けず、赤く、なお赤く、その命を叫ぶように燃えている。
竜たちはその様子をしばらくじっと見ていた。心に赤い火が宿るのを感じながら。
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