- ナノ -
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やわらかく真っ白な、永遠の雪に包まれているような空間に、竜の意識はふわふわと漂っていた。そこに突然、生き生きとした甘酸っぱい香りが流れ込んだ。鮮やかな色みを覚えるほどの感覚に、竜は目をさます。
栗鼠が一匹、竜の顔を覗き込んでいた。少しずつ運んできたのだろうか、側には木苺が積まれている。栗鼠は手に持っていた木苺を竜の目の前に置くと、どこかへ駆けていった。
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