- ナノ -
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緑の丘の上に、一軒の小さな木の家が立っている。そこには、かつて世界中を歩いた旅人が暮らしていた。次に訪れるところのことばかり考えてきたけれど、と彼は言った。この丘に来たとき、ここだ、って思ったよ。ここが俺の、旅の終着点だったんだって。
彼の満ち足りた横顔を見て、竜はいつの日か、自分も飛び終える日が来るのだろうかとぼんやりと考えた。
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