その9
- ナノ -



先生の配慮 9

 ある日、委員会に行くために、同じクラスでまだ友達と遊ぼうとしていたもう一人の環境委員の男子に、「委員会へいくよ」と声をかけたことがある。すると、「何でこの委員会こんなに仕事多いん?」と返ってきた。仕事が多い、というよりは、一つ一つの仕事が重いのである。はた目からはなんにもしていないように見えるかもしれないが、意外に忙しい。だからこそ、仕事をしている時はめんどうでも、いざ六年生になって三学期に引退してみるとさみしいものだった。少なくとも私はそうだった。最後の空き缶集めの日、私は中腰であいかわらず腰の痛くなる空き缶数えも、空き缶の入った袋を持って学校中を走り回ることも、むしろ楽しいと感じた。私は小学の時から「最後」をことさら意識してしまうくせがあったので、余計にそう感じたのかもしれない。空き缶入りの袋を各クラスから回収しながら私はふと気がついた。図書委員になれなかった私が、環境委員を選んだ理由。こうやって空き缶を集めたりしている上級生の後姿を見て、なんのために、なにをしているんだろう?と無意識に興味を持ったからかもしれなかった。



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