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 遠い昔。不治の病に冒された想い人を救うため、魔法使いに会いに行った娘がいた。娘の願いを聞いた魔法使いは、彼女を黄金の樹に変え、その樹に実った光り輝く果実を想い人に食べさせた。彼はみるみるうちに元気になったが、自分のために樹になった娘のことを知り、嘆き悲しんだ。彼が魔法使いにその胸の内を話すと、魔法使いは彼を一頭の見事な竜に変えた。こうして、その竜は今でも、世界のどこかで黄金の樹の姿をした娘のことを守っているのだという。


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