- ナノ -


370

 空を飛んでいて、ずっと記憶に残したいと思う景色に出会ったことはないかい。両手で四角を作り、そのなかを覗き込みながら彼は言った。たくさんあるな、と竜。彼は満足そうに頷く。僕は、それを叶えられる機械を作りたいんだ。絵を描くよりも、もっと速く。より正確に。その光景を残せる機械をね。
 出来上がったらぜひひとつ欲しいものだ、と竜が言った。もちろん、と彼は片目を瞑った。


[