- ナノ -


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 どうしたってできないことってあるだろ、と少年。たしかに、わたしも炎を吹いたりはできないな、と竜が返す。そういうのってがんばってもあんまり意味ないじゃん、むしろ得意なものやろうぜって感じ。少年はそこでにやりとした。ってなわけで、俺ちょっと外走ってくるわ。
 勢いよく扉の外へ飛び出す少年。机の上には本と紙とペンが置きっぱなしだ。竜は小さく頭を振ったが、その顔は少し笑っていた。


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