- ナノ -


295

 なんたってどんな場所も飛び越えていけるんだから絶対に竜の方がいい、と彼は叫んだ。いや、馬の方がいいね、竜だとごみごみしたところには入れない上に街中じゃ乗れない、と彼の友人が叫び返す。竜、馬、竜、馬。そんな二人の言い合いなど意にも介さないように、馬は草を食む。竜はといえば、仲がいいことだと少しあきれて人間たちを眺めていた。


[ ]