- ナノ -
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目元まで隠れる、大きな麦わら帽子。その帽子をかぶり、熱い太陽の投げかける視線を避けるように、女性がひとり、浜辺を歩いていた。彼女をぼんやりと見ているうちに、竜はつい眠りこんでしまった。ふと目覚めると、頭がなんだか少し涼しい。手を遣ってみて、あの麦わら帽子がちょこんと頭の上に乗っていることに気づいた。名前も知らない彼女が、どこかで微笑んだような気がした。
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