- ナノ -
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仔竜の目の前を、小さな何かが飛んでいる。蒲公英の綿毛だ。捕まえようと手を伸ばす。ふわり。捕まらない。ふわり。やはり捕まらない。追いかけているうちに、大きな風がひとつ吹き抜けた。綿毛は空に舞い上がる。仔竜はじっとそれを見つめていた。いつか飛べるようになったら追いつけるかな、そう思いながら。
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