- ナノ -


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 竜は目一杯その翼を広げた。何か言いかけては言葉を飲みこみ、それでも抑えきれずに、白い鱗を持つ竜が彼の背中に声をかける。行ってしまうの、と。
 この世界を、見たい。彼は振り返らずに言った。ひとつ大きく羽ばたく。体は軽々と宙に浮かんだ。あなたには感謝している。そう言い残して、竜は風と共に去った。


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