- ナノ -
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少女は胸にぬいぐるみを抱えていた。このこといっしょだったらなんだかあんしんなの、と彼女は言った。ドラゴンさんにもそういうもの、ある? 竜はそれにはこたえなかった。ただ、少し遠い目をしてこう語った。昔、妹のためにわたしの鱗を守りものとして持ち帰った人間がいた。彼女にとって、その鱗がそういうものになっていればいいと願っている、と。
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