- ナノ -


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 真っ赤に色づいた木々の葉が、茜色の夕日に照らされ、その色をさらに深める。少し肌寒さを感じる秋風がひとつ、吹き抜けていった。すてきな光景ね、と竜の隣で彼女は言った。私がこの世界から旅立っても、ずっとずっと、人が竜と一緒に、この景色をきれいだなって思えるといいな。
 願わくは、と竜も頷いた。心から。


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