- ナノ -
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秋の夕暮れの、その一瞬に、紅葉は輝く。赤から黄金に染まった葉は、しかしその直後、木から離れて風に攫われた。表に、裏に、ひらひらと身を踊らせながら舞い落ちていく。
竜とて例外ではない。空から落ちる日が、いつか必ず来る。黙して見つめる竜の前で、紅葉はなおもきらめいていた。最後のその瞬間まで、命を燃やすように。
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