- ナノ -
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清らかな川に、飛んでゆく竜の影が落ちる。いつ、自分の姿を知ったのだろう。竜はふと思った。水に映る自分を見たときか。それとも、人の持つ鏡を見たときか。誰よりも一番近くにいるはず。それなのに、もしかすると誰よりも一番、その姿を知らない。そう思うと、自分という存在が竜にはとても不思議に思えた。
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