- ナノ -


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 竜ってすごいよね、と少年は言った。飛んだり、火を吹いたり、氷を生み出したり、いろんなことができちゃうんだもん。顔を輝かせる彼に、竜はしばらく口を閉じたままだった。しかしやがて、言う。わたしたちにもできないことがある。竜も人と同じ、この世界の自然の一部にすぎないのだ。目を瞬かせる少年に、いつかわかることもあろう、と言い残して竜は飛び去った。
 

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