- ナノ -
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膝の上ですやすやと眠る仔竜が、いつか自分の背丈を優に越すほどの竜になる。少年にはそれが少し、不思議に思えた。少年の頭や肩に乗ってどこへでも一緒に出かけ、りんごをちょっとずつかじり、彼が絵を描くのを机の上でじっと見ている。仔竜は、いつまでもそんな仔竜であるような気がしてしまう。
仔竜の背をなでながら、少年は思う。それでもずっと、友達でいたいと。
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