- ナノ -


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 空を仰いだ。夏の空は青い。秋の空も青い。どっちの空の方が青いんだろうね、と人間。竜はそのまま、秋の始まりの空を見つめ続ける。どちらも青いが、と竜は言う。夏の空には輝きが、秋の空には高さがあるように感じる。もういちど空を見た人間は、わかる気がする、と呟いた。同じ青でもいろいろな姿がある。それをとても、すてきなことだと考えながら。
 

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