- ナノ -
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昔この近くに人の村があってね、と川を司る龍が言った。よく、小さな女の子が川の水をおいしそうに飲んでいたんだよ。竜はあたりを見渡した。人の気配はもとより、村の痕跡さえもない。その少女はどこへ、と竜は尋ねた。龍は静かに首を振った。
川は、日のひかりにきらめきながら、さらさらと流れてゆく。
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