- ナノ -


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 ねえ、竜なら、あの星にも手が届くんじゃない? 顔をかがやかせ、人の子が言った。竜は首を振る。たとえ竜であっても、そこまで高く飛ぶことはできない。そっか、と子ども。ややあって竜は言った。だが、そんな竜もいるのかもしれないな。わたしが知らないだけで。じゃあ、きっといるってことにしよう。そのほうがたのしいから、さ。人の子はそう言って、ぱっと笑った。


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