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- ナノ -


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 街の中心にある円形の公園に降り立つと、人々が駆け寄ってきた。竜と、竜に乗って空を飛んだ人間は歓声に包まれた。しかしいま、その背に乗る者はいない。そして迎える者も。竜は森にほど近い街の外れにひっそりと降り立つ。裏路地を通る僅かな人が、竜を疎ましげに見遣って足早に立ち去った。


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