- ナノ -
73
街の中心にある円形の公園に降り立つと、人々が駆け寄ってきた。竜と、竜に乗って空を飛んだ人間は歓声に包まれた。しかしいま、その背に乗る者はいない。そして迎える者も。竜は森にほど近い街の外れにひっそりと降り立つ。裏路地を通る僅かな人が、竜を疎ましげに見遣って足早に立ち去った。
[
←
〇
→
]