- ナノ -
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一瞬にして木々が燃え上がった。人が飛行機から放った爆発物が山に落ちたのだ。竜たちのほとんどが去った後、人は幾度も、人同士で争った。人の望みも、欲も、悲しみも、とどまることを知らない。急速に燃え広がっていくこの炎のように。
竜は、逃げ場を失って木の根本にうずくまる、猿の親子を見た。力強くはばたき、親子を前脚でやさしく抱えこむ。そして安全な場所を探して飛び続けた。どこまでも。
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