- ナノ -


789

 昔、旅に出る竜が人間に白い花を贈った。人間は花を慈しみ、種ができると、それを植えて大切に育てた。春が来るたび、その白い花は美しく咲いた。何年も、何十年も経ったある日、その白い花を懐かしく思った竜が彼方からやってきた。人間は生きていた。再会を喜び、しばしの時を、竜と人間は共に過ごした。


[