- ナノ -


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 あらドラゴンさん、かわいいお花の飾りね。街角で会った顔見知りの人間がにっこりする。竜は何のことかわからない。しっぽ、と人間は言った。竜が後ろを振り返ると、野の花で編んだ小さな花輪が尻尾に通してある。
 眠っていた時だな、と竜は思った。名もわからぬ誰かからの贈り物。竜もまた、にっこりと笑った。


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