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 僕らは翼で飛びがちだけどさ。脚もあるんだから、たまにはあえて歩いてみるっていうのもいいと思うんだ。うまく歩けなくて、ゆっくりでもね。そう言って脚を動かしていた小竜のことを覚えている。竜は翼を畳み、大地に降り立った。芽吹いたばかりの柔らかな草と日の温かさを宿した土が竜を迎える。それを味わうように、竜は歩いた。一歩ずつ。一歩ずつ。


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