- ナノ -


776

 これをこうして、彼に電気を分けてもらうと。彼女は針金の先を電気竜に渡した。針金に取り付けてあった硝子の中がぴかりと光る。ね? ね? すごいでしょ? 得意満面の彼女に対して拍手はまばらである。大概の人は彼女たちの方に目もくれず通りを歩いていった。すごくいいと思うんだけどなあ、と彼女は首を捻る。この発明が人の暮らしを変えていくことを、人々も竜もまだ知らない。


[