旅のかけら
2017/03/15 22:28
ふと気がつくと、まわりにいろいろな旅の思い出があふれていた。
京都をひとり旅したときに買った財布。京都水族館の、ペンギンモチーフのおにぎりケースや箸箱。
ふらりと東京を旅行したときに手に入れてきた、二組のお気に入りの手袋に、星座もようのブランケット。
歴史柄のミニがまぐちは高知のものだし、ステンドグラス風のイルカやかめがきらきらと輝くすてきなブックマーカーは鹿児島のおみやげだ。
家のなかや、自分の持ちものをあらためて見てみると、旅先で買って、いまも大切に使っているものがかなりたくさんある。
慌しい毎日を送っているときは、つい、目の前のことだけにとらわれ、心もすっかりちいさく縮こまってしまう。
そんなとき、ちょっとだけ目をあげて、まわりを見る。旅先で見つけて、いまもここにある、私のたからものを見る。
そうすると、思い出す。旅に出たときの風景。そこで出会ったひとびと。その街の空気。雰囲気。香り。空。……自分の気持ち。感動。
時間も空間も越えて、よみがえってくる記憶がある。
私はただ、いま、この一点において存在しているわけではないのだ、と。世界はただ、この場所、この一点でできているわけではないのだ、と。
それを思い出すことができたとき、ふっと、心が軽やかになる。それは、自分のなかを一陣の風が吹き抜けるような感覚。
確かに私のなかにある旅の記憶と、直接は見ることができなくても、いまも確かに広がっている外の世界。旅で訪れた場所。
私の手もとにある旅のかけらたちが連れてきてくれる、その風に、思いを馳せながら。
私は今日を「やりすごす」のではなく、今日も「進んでゆく」。
確実に。
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