AM11:00

※現パロ虎(18)三木(21)



「…ぃ…田村先輩」


貴方の名を呼ぶ自分の声で目を覚ます、小さな部屋で僕は。眠い目を擦り、時計に目をやります。目覚める直前に呟いたその名が、僕の心臓をどくんと鳴らすのです。

「11時かぁ…」

何故でしょう。

「腹、減ったなぁ…」

空のベッドが、隣にあるからでしょうか。

「飯…食べよう…」

僕を揺すり起こす手が、無いからでしょうか。

「ふぁあ……」

何はともあれ、僕の目覚めは、今日も良好です。

僕はキッチンへ向かい、ヤカンに火をつけます。顔をあげると、歯ブラシやら、タオルやらがそこにあります。

貴方の歯ブラシは、いつも乾いています。貴方のタオルからは、洗い立ての洗剤の良い匂いがします。

そうこうしていると、グラグラとヤカンが揺れました。

一人分のお湯が入ったヤカンは、随分と軽く違和感が拭えません。
線より少し少なめに入れるのは、固めを好む貴方の為に無意識の内に身に付いていた癖でしょうか。

苦笑いで、砂時計を傾けます。

三分、百八十秒、一秒を、百八十回。その短い間に、誰かに想いを伝えることも出来る、喧嘩もまた。何かを好きになることも出来る、嫌いになることもまた。恋を始めることもことも出来る、終わらせることもまた。人の感情変化など、瞬きの合間にも容易く出来るもので、それに比べれば三分など十分過ぎる程の時間なのです。

そうこうしている間に、砂時計は全て落ちきりました。


麺を啜って二分、家のチャイムが鳴ります。玄関に向かうまで二十秒、ドアの鍵を開けるのに十秒。
そして、その先にいる貴方にお帰りなさいと笑うまで、あと。




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高校虎若(18)と大学田村(21)の同棲生活。

些細な喧嘩をきっかけに暫く家出してた田村を待つ虎若の話。

三木はタカ丸さんの家辺りに居候していましたが、やっぱり虎若が恋しくなって結局帰ってきます。それが最後の描写でした。

ちなみに休日の話です!じゃないと高校生の虎大遅刻ですから!(笑)

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