3/5

―――――ザァァァ
しばらくしてふと嫌な音に気づく。
まさか……。

窓の外をみると案の定、雨が降っていた。
しかも土砂降り。

最悪…。
降りだす前に帰るつもりだったのについ夢中になってしまった。

これは早めに帰ったほうがいいかな。
なんか強くなってる気がするし。


席を立ち、本を戻しにいこうとすると司書さんに呼び止められた。
「もう読んだのか?」
不思議そうな顔で尋ねられる。
「いえ、帰ろうと思って……」
そう答えると今度は怪訝そうな顔をした。
「珍しいな」
確かに、いつもは学校が締まるギリギリくらいまでいるからな。
もうちょっと読んでいたかったけど、今日は雨降ってるし、傘持ってないし。
「はい。暗くなってきたんで」
「ふーん。……つか、今日は、借りないんだ?」
何だ、その興味のなさそうな返事。
自分から聞いてきたくせに。
「…まぁ、はい。」
「何で?」
どうして、こんなこと聞くんだろうか。
「何でって……雨、降ってますし」
「いつもは借りて帰るだろ」
う、確かに。それで怪しまれてたのか。
でも、傘が無いってこの人に言うのは癪だしな……。
どう言おうか迷って、黙っていると、司書さんが声を上げた。
「あ、何?もしかして傘持ってないとか?」
「………」

何で今日はこんなに鋭いのよ!!

すると、司書さんは今にも笑い出しそうな顔をした。
「ぷっ図星かよ。お前、ほんと面白いな」
あーもう最悪。
何でバレるの…。
分かりやすすぎなのかな、私。
ポーカーフェイスって言われること多いんだけど……。
せめて、こうもっとクールに対応できたらいいのに。

なんて、後悔真っ只中の私のことなど、目もくれず、司書さんは席を立った。
「……あの、司書さん?何で本、戻してるんですか?」
読み終わったにしては早すぎる。
「帰るから。送るよ」
「えっ?」
送るって……。
「次からこういうことはもっと早く言うように」
戻ってきた司書さんは、私の頭をポンと叩いた。
「……っ」
突然のことに、反応に困る私。
思わず固まってしまう。
「………い、いいですよっ大丈夫ですから!!」
「どこが大丈夫なんだよ。こんなに降ってんのに」
司書さんの言う通り、雨はさっきよりも強くなっている。

でもなぁ、送ってもらうっていうのは……。

迷っていると、さらに聞きたくなかったゴロゴロという音。

やだなぁ、雷。やっぱ送ってもらおうかな……。

ひとりで唸っているといつの間にか司書さんは図書室を出ようとしていた。
「さっさと来ないと、鍵閉めるぞ」
「えっ、ち、ちょっと待って下さい!」

とりあえず、私は荷物をまとめて本を戻して急いで廊下に出た。

 

  back long story
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -