06
ちなみにさっきみたいな修羅場はもう毎日のようにある。
そしてそんな日は決まって那月くんは響の部屋に泊まる。そして俺はイヤホンでガンガン音楽を聴きながら寝る羽目になるのだ。
ああ、なにやってんだろ、俺。
ポケットからチャリ、と音を立てて取り出したのは家の鍵だ。
響の部屋にも、自分の部屋にも入れる鍵。付いているペンギンのストラップは響とお揃いのもの。
といっても響が身につけるところなんて見たこともないから意味もないんだけど。
二人でなんとなく行った水族館でなんとなくかったものだけど、響はお土産なんて買うタイプじゃないから貴重なのだ。
(なぁ)
苦しい
(響、)
痛い
(俺さ)
もうやめてしまいたい
(響が好きなんだよ)
なんかすごく、自分が馬鹿で滑稽で笑ってしまいそうだ。
指に絡めたペンギンのストラップは少し塗装が剥げてきていた。
思い出しかないのに、それすらもはがれかかってるなんてほんと、まるで現実みたいで。
空は雲ひとつない晴天で、それすらも頭痛をひどくした気がした。
どうにもやめられそうにない、止まらない
もしも伝えたらお前はどんな反応をするんだろうな、響
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