短編たち | ナノ



3



「ねぇ、きもちい?」

ほんの、ほんの小さな声が気持ち悪い響きを含んでゆったり耳に届く。

「っん、く、」

気持ちいいわけねぇだろーが
気持ち悪い、気持ち悪い

そう思いながらも高校二年生。体は正直なお年頃ってやつだ。カリカリ、と先の方を引っ掻くようにされ、思わず腰が抜けそうになった。

「っ、く」

手は片方の手で纏められていて抵抗もままならない。しかも尻部分に当たっているのはどう考えてもこいつのブツ。

気持ち悪いし、蹴り飛ばしたい。
だからラッシュは嫌なんだ。いや、痴漢とかは初めてだけど。

反応したくないのに徐々に熱をもつ自分の下半身にどうしようもなくイラついた。

「っ、っ、も、むり……、」

そもそも溜まってたのが運の尽き。
イキそうになり、それだけは勘弁してくれ、と振り返ってじじいを睨み上げた。

なのに何を思ったか、さらに鼻息を荒くしたじじいが腰をすこし揺さぶり始め、あろうことか俺のスラックスを寛げ始めた。

「っ、ちょ、、っ、」

なにしてんだよこんのくそじじい
そう強気でいられるわけでもなく、ただひたすら唇をかんで喘ぎ声を抑える。

「っぁ」

そして情けなくて恥ずかしいことに、じじいの手の中で達してしまった。

いやだ、気持ち悪い、最悪だ。
べろん、と耳を舐め上げられ、相変わらず高ぶったものを押し付けている。

そしてそのタイミングで電車がホームについてしまった。

すばやくおれのスラックスを治し始めるじじいは纏めた手を離そうとはしない。

やばい、と思った。








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