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そもそも、俺と奏架と鳴はいわゆる”幼馴染み“って言うやつで。小2になる前の春休みに3人一緒に近所の野球チームに入った。
入ったときにまず監督に
「どこを守りたい?」
そう聞かれた。鳴は性格上想像できるが投手を希望。
「奏哉はキャッチャーな!な!そんで俺の球受けんの!」
あまりにもしつこいもんだから結局俺がおれて捕手。特にどこを守りたい。っていうのも無かったからどこでもよかったといえばよかったんだけど。
そしたらは 奏架まで”奏哉に受けてもらいたい!”何て言うから投手を希望。
そんな理由で俺らのポジションは決まった。








「奏哉!いっくよ〜!
奏架スーパーストライクボーーール!」
「え!俺もなげる!
鳴スーパーストライクボーーール!」
チームに入って半年弱。
投手を希望していた2人はいつもこんな訳のわからないネーミングセンスで俺に受けるよう催促しにくる。監督も笑いながら見てるだけで別にとめにくるわけでもないしすすめるわけでもない。たぶんこんなことやってれるのも試合に出れるまでなんだろうけど。
「ねえ!奏哉きいてる!?投げるよ???」
「俺が先!!」
「違う 奏架 !!」
「うるさいなぁ。順番でいいじゃん」
「ダメだよ奏哉!こうゆーのは最初が肝心なんだよ!!」
「そうだぞ!奏哉!最初が肝心なんだよ!」
「2人ともいつもそれ言ってるじゃん。最初っていつまで最初なの。」
俺がそう突っ込みをいれると黙る2人。
これもいつものことなんだけど。




そして時は流れ中学生になる頃には3人とも試合にはよく出るようになっていて。奏架も女子ながらにそのまま投手として試合にでていた。


「ねーねー。奏哉。」
「なに?」
「変化球覚えたいなぁ〜。
カーブとかさ!格好いいじゃん!
バッターの前でボールの軌道変わるんだよ!
すごくない!?」
「え! 奏架変化球おぼえんの!?
俺もやる!!」
「覚えればいいじゃん。
わざわざ報告いらないけど。」

練習からの帰り道はいつも野球の話。

「なにいってんの!変化球覚えるにはキャッチャーが必要じゃん!ね、鳴!」
「そうだそうだ!ここで俺らを見捨てんのか!」
「見捨てるもなにももともと拾ってないけど。」
「捨てるとか拾うの話してないのにー!
真面目に答えてよ〜」
「ごめん。でも変化球覚えるのもいいけど結局それを活かすのってストレートじゃん。もっとストレート磨いてからのがいいんじゃない?」
「 奏架〜。奏哉、監督とおんなじこと言うのな」
「ね!頭かたいからだよ!」
そう2人でないしょ話をするが正直聞こえている。
というか、 奏架って賢いと思ってたけど鳴と話してるところみると全然そう思えない。
「あ、奏哉今さらっと失礼なこと思っただろ!」
「いや、口にだしてるお前らよりましだと思うけど。」
「やっぱり思ってたんだな!
はっ、もしやそれを見抜いた俺って…」
「テレパシーとかじゃないからね。」
「そんな言いきらなくたっていいじゃんかー」
「鳴だからしかたない。」

そして結局変化球を覚えたいと言う2人の話は特に進むこともなくお互いの家に着いた。





この時、急に変化球を覚えたいなんて言う 奏架の心境になんて全く気付いていなかったんだ。







(スーパーストライクボーーール!)
ネーミングセンスなさすぎだよ、 奏架。
そんなことないもんね!


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