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二軍の試合中、 奏架にいつもと違うって言われた。たぶん薄々は感じてたんだろうけど、きっと純さん辺りに言われて俺のとこ来たんだろうなって思う。 奏架にはキツい言い方したけどあいつに悩んでること言ったって意味ないし。今は俺個人のことよりチームのことの方が大事だし。
「ねえ、奏哉」
寮の外で自主練もそこそこに地面に座っていたときに聞きなれた声がした。
「なに。さっきのことならほんとに何もないから。風呂いくわ。 奏架もそろそろ帰りなよ。」
「帰んないよ。絶対いつもと違うもん。聞くまで帰んないよ。」
声の主はやっぱり 奏架で。
頑固だな、ほんと。まあたぶん俺も人のこと言えないけど。
「じゃあなに言えばいい?別に 奏架に心配されることなんてないし必要もないよ」
半ば八つ当たり。
「必要もないって、おかしいじゃん!私には必要な心配なの!私は青道のマネージャーだし奏哉の妹だし」
「それだけ?」
「それだけ、だけど…」
「そう、じゃあ、おやすみ。はやく帰らないとバスなくなるよ」
ここまで来たらあいつは絶対ひかない事を知ってるからケータイの時計をみせる。
もう早くかえってほしい。どうせこのまま言い争ってても俺が八つ当たりするだけだし、これもヒートアップして先輩達が来るかもしれないし。
「…。」
そのまま無言。
「じゃ…。」
「派手に言い争ってたな〜」
奏架が校門を出ていくところが見えたから本当に帰ったんだと思い俺も風呂に行こうとしていたとき。
「見てたのかよ」
御幸がひょろひょろと出てくる。
てゆうかずっと見てて今出てくるとか本当に性格悪いな。
「見てたもなにもお前らが言い争ってるなんてかなり珍しいからな。気になっちゃって」
こうは言ってるけど気になってるのは俺がいつもと違うってことだろう。
「へー。じゃ、風呂いくから。」
そういって振りきろうとしたのに。
「捕手のことか。」
こいつはなんでこうドンピシャであててくる?
「御幸にも関係ないよ」
「も って 奏架にもそう言ったのかよ」
「は?お前聞いてたんじゃないの」
「誰がそんなこと言った?俺は 奏架のあらぶった声きこえただけだよ〜」
「あっそ。 まあそうゆう事だから。」
「そうやってまた距離おくんだ。
てゆうかそんなんだったら捕手やめて正解じゃね?俺はなんでやめたかしんねぇけど、してても意味ねぇと思うわ。じゃあな、もう構わねーよ。
あ、練習には支障きたすなよー」
「…くそっ」
(関係ないよ)
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