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沢村くんとクリス先輩が揉めて、仲直り?したと聞いた日から数日後、私は沢村くんに「俺の持ち味はなに」かを聞かれた。そして確かに私は変化球もなく豪速球でもないんだからコントロールならましだと思って、「コントロール」と言った。言ったけども…

カキーン
カーン

対狛代戦
先発は沢村くん。
クリス先輩と組んで何か変わったかと思えば…。
コントロールを気にするばっかりに急速が著しく落ちる。
沢村くんを見ておきたいと思って二軍の試合をみにきてよかった。これじゃ並み以下だ。

「クリス先輩…。」
「あぁ。」
「沢村くんのことお願いします。」
「俺になにが言えるかは分からんがな。」
「いえ、私はクリス先輩なら沢村くんのほしい言葉言ってくれると思ってますよ」
「ふぅ、全く柏木には敵わないな。
沢村のことは任されたからお前ははやく一軍の試合に行け。あっちも見ておかないといけないんだろ?」
「はい!ありがとうございます!」





「監督。」
「柏木か。二軍の試合はどうだった?」
「まあ…。見に行ってよかったですかね。」
「その顔だとあまりいい意味では無さそうだな」
私の表情をみて苦笑いをする。
監督の苦笑いなんて珍しいな…。思ったより点数のびてないのかな?
そう思いスコアボードに目を向けるもそうでは無さそうで。
「何かあったんですか?」
「降谷がな…」
監督の思いがけない言葉に私はマウンドに顔をむける。
「丹波さん?
って、もしかして、怪我、ですか?」
「いや、爪だよ」
相手の攻撃をおさえてベンチに帰ってきた一也に言われる。
「爪?まさか、われたの?」
「まあな。気付いてやれなかった俺のミスだな。」
そう言うも目の前にいる一也の顔はあまり申し訳なさそうな顔をしているわけでもないんだけど。
「とにかく私もあとで爪のケアのことは降谷君もだけど一応沢村くんにも言っておくね」
「頼むわ。あいつ今日から2週間走り込みらしいから」
まじか…。
1年生投手2人してなにしてんだか…。








(まじか…)
あ、おもわず本音が。
しかも地声じゃん! 奏架!!
いや、私倉持の前で地声出したことないから。


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