「それでは、なまえさんの無罪記念を祝して乾杯!」
「かんぱーい!沢山食べてね!」
裁判前に約束したパーティーは王泥喜くんたっての希望で、私の家で催されることになった。私がいくらでもゴチソウするつもりだったので拍子抜けしたけれど、今までの感謝とお礼を込めて、料理は腕によりをかけて作ったつもりだ。
「裁判が終わって『やりましたよ!なまえさん!』って王泥喜くんに手を握られて、やっと実感が湧いたんだよね。その節はその……見苦しいところを見せてごめんね」
「いえいえ!ほっとしたら、あれだけ泣いても仕方ないですよ!あ、これ美味い」
デリカシーというモノがないのかこの人は……と思ったけど、怒る気持ちなんて微塵も湧いてこなかった。数分で空になる彼のグラスにビールを注ぎながら、平和な暮らしが戻ってきた喜びを改めてかみしめた。
「王泥喜くんが無罪判決を勝ち取ってくれたおかげで、元の職場で働けるよ!職場の人達にも今度、お祝い会を開いてもらえることになって……王泥喜くん、本当にありがとう」
「そ、そんな、オレなんて……」
王泥喜くんは手を横に振りながら、もう片方の手でむぐむぐとエビフライを口に放り込んでいた。笑ってはいけないと思いつつも上手く隠せていなかったみたいで、王泥喜くんが不思議そうな表情で私を見ている。
私は話題をそらすために、前々から思っていたことを口にした。
「王泥喜くんって、」
◯
法廷に立ってる姿、格好いいよね or●
頼りになる弟みたいだね