ジコチューとユリの花と蝙蝠 [ 4/16 ]

新たな客に固まったトーノだが、またその客も入り口で固まっていた。

赤髪の少女、リリー・エバンズは目の前の金髪の少女に見入ってしまっていた。

一つに束ねた綺麗な輝きを放つ金色の髪、少し長め前髪から覗く吸い込まれそうな黒色の瞳、長い横髪の片方は耳にかけていて白い首元まで見えた。

かわいいや綺麗なんて言葉では足りない、まるで・・・


「リリー?」

「えっ!? あっ!、セブどうしたの?」

「どうしたもなにも!君が入り口から進まないから」

「あ、あらほんとね、心配かけてごめんね?」

「っ・・・」


かわいい、リリーの叫びでもどったトーノは素で思った。
へ〜?ふ〜ん?あのスネイプ教授ってそんな顔するんだー? トーノの心の声をきいたら黒髪の少年の顔はまた違った意味で赤くなるだろう。


「あ、あの あなたも今年ホグワーツに入学するんですか?」

『早く行けばよかった』

「え?」


表情ではわからないだろうが今トーノの機嫌は最悪だ、かろうじてスネイプが感じているのかリリーをトーノから遠ざけようとしているが当の本人の動く気が全くないので無意味に終わった。


「いえ、なんでもない。そうだよ、今年で一年生、今丁度杖を買ったところだよ」

「やっぱり!わたしリリー・エバンズって言います。それでこっちは」

「・・・セブルス・スネイプだ」

「ご丁寧にどうも、私はトーノ・ローレン。トーノでいい」


ローレンの名前でスネイプの顔がピクリと動いた、ローレン家は純血主義を掲げる一族、そして同時に魔法薬や闇の魔術の本を多く出している一族でもある。
スネイプの心情としてはリリーの安全のためにはトーノから離れさせたいが、自分のためには利用したいと考えているのだろう。あくまでもトーノの予想だが


「それじゃ、私はここで」

「あ、待って!よければわたし達と一緒に周ってくれないかしら?」

「リリー!!」

「だってセブ、わたし達初めてここに来たのよ? それなら___」


リリーがスネイプを説得し始めた所でトーノは頭を抱えたくなった。

お願いだからほっといてくれないかなぁ?私としてはあんまり関わりたくないんですよー それとスネイプさん?私はの事そんなに睨まないでくれないかなぁ心配しなくてもリリーさんには手ぇ出しませんから。あ、でもほんと可愛いよねー私がなにも知らなかったら出してたかもしんないやー。

スネイプとトーノの手を出すの意味合いはきっと違うだろうがトーノは早くここから逃げ出したかった。
そんなのほっといて早く行けばいいのに、そう思う人もいるだろうがそれはしてはならない。なぜならどう避けてもこれから先ホグワーツで一緒に生活する仲だ、下手して嫌な印象をもって学校生活を過ごしづらくするのはどうしても避けたい。


「ねぇおねがい、いいでしょ?」

「しかし、・・・ローレンがいいと言ってないだろう?」


まるで最後の望みというふうにスネイプはトーノを見た。しかし同時にリリーもトーノを見るのだ。え、何この展開


「…いいよ、一緒に行こう。それとスネイプ私の事をローレンと呼ぶな」


結局リリーの方に折れた、スネイプも十分可愛かったのだがリリーに関しては涙目だったのがトーノには大きかった。


「本当にありがとう!トーノ!」

「…何を考えている」

「お願いだからそんなに警戒しないでほしい、さすがに傷つく」

「え、あ… …悪かった」


もちろん嘘だが、トーノの名演技【ショボーン】でスネイプを騙した。


「いいよ、じゃあまず杖を買わなくちゃね その為に来たんでしょう?」


そのトーノの言葉にようやく二人はオリバンダーさんに気づくのだ、その後三人で笑いあったのは嬉しい誤算だったが。

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