ジコチューダイアゴン横丁に行く [ 3/16 ]
金色の長い髪と深い黒色の目を持つ少女がダイアゴン横丁に訪れていた。
彼女は由緒正しき純血魔法族であるローレン家の長女、トーノ・ローレンだ。
トーノは今年、ホグワーツ魔法魔術学校に入学する、今日はホグワーツのからの手紙に書いている教科書、杖、ペット、その他もろもろを買いに来ていた。
「次は杖かな」
【オリバンダーの店:紀元前382年創業高級杖メーカー】
そう書かれた扉を押し中に入るとトーノは微笑みを浮かばせた。
「いらっしゃいませ」
奥からオリバンダー老人が声をかけた、突然のことだったので普通の子だったらきっと飛び上がるだろうな、とトーノは思った。
「おお驚いた! ローレン家のお嬢さんじゃとは」
「久しぶりですね、オリバンダーさん」
トーノとオリバンダー老人には面識がある、トーノにはあまりいい思い出ではないのだけど。
その後軽く会話をしてトーノの杖選びが始まった、しかし。
「ふむ、また難しい客じゃのう」
なかなかトーノの杖は決まらなかった、試した杖は30本を越えて椅子の上には杖の山ができた。トーノはこれまでにない不安を感じた。
もしかしたら、私には魔力がないのかも…
「そうなんですか?」
トーノは自分でもびっくりするほど泣き出しそうな声でたずねた。
「心配はいらんよ、ピッタリあう杖をお探ししますでな。…さて、ではこちらなんていかがでしょう、柊と不死鳥の羽、28センチ、良質でしなやか」
オリバンダー老人はやさしい声で杖を差し出してきた。
しかしトーノは顔を真っ青にした、これって【あの】杖じゃん!?
「いかがしましたかな?」
「い、いえなにも」
そうそう、私がこの杖に合うはずないんだから、そう思いながらもトーノは恐る恐る杖を手にとった。
・・・ほら、なにも起きない。安心して杖を振ろうとしたその瞬間
『熱っ!』
突然杖は熱を帯びて、トーノを拒絶したのだ。いくらなんでも杖に拒絶されるとは思わなかったトーノはひどく肩を落とした、今自分が異なる言語を言ったのも気づかないほどに。
「おお!すまないローレンさん!怪我はなかっかね?」
杖のほうが大事なんですねわかります。オリバンダー老人はトーノがおもわず、お も わ ず 放り投げた杖を先に回収していた。
「ええ大丈夫ですとも」トーノは少し早口で答えた、べつに拗ねているわけじゃないし。
「それにしても不思議な… いやしかし、ほんに難しいお客さんじゃ」
「(なんかごめんなさい)ん?」
トーノが少し罪悪感を感じているとふと、目に写ったものがあった。
「あの、オリバンダーさん?あれも杖ですか?」
「ん?あれは・・・ そうか」
オリバンダー老人は急に立ち上がり、トーノがきいた物を持ってきた。
箱の蓋を開けて、その杖を見てトーノは確信した。この杖だ
「これはの、ここから遥か彼方東の国 日本とゆう所で採れた材料なんじゃが…」
ガタッ、トーノはおもわず椅子から落ちた。オリバンダーは気づかずに(いや気づけよ)続けるがトーノの頬は少し赤くなっていた。
「樹齢千年を超える桜の木、杖に芯には不死鳥の尾羽根28センチ、振ってみなされ」
オリバンダー老人は立ち上がったトーノに杖を差し伸べる。トーノはそれを受け取った。
じわり、指先から心地よい暖かさを感じる。 あぁ、やっぱりこれだ
トーノは心を弾ませ杖を振った、すると杖の先から桃色のモヤが出できてそれと同時に懐かしい花の香りがした。
「桜の、香り・・・」
「おお!ようやくピッタリの杖が見つかったの」
「え、ええ」
こんなに素晴らしい事は生まれて初めて、トーノの頬には笑みが浮かんでいた。
「ローレンさん。この杖は儂が作ったものではない、詳しくはわからんがきっとこの店にある杖のなかでは最も…いやなんでもない。しかしローレンさん、覚えておきなさいこの杖は魔力に敏感じゃ、そしてどこまでも持ち主に忠実、わかりましたかね?」
「?ええ、わかりました。 あぁオリバンダーさん、お代はいくら?」
意味深なオリバンダー老人の言葉に首をかしげながらもトーノは会計をすませた。
オリバンダーの「次はどちらへ?」という問いに「ペットを買おうかと」と答え店を出ようと振り向いた。
チリンチリン、と店の奥から鈴の音が聞こえた、あー次のお客さんか。それぐらいにしか思ってなかったトーノだが、店に入ってくる二人の人影を見て体が固まった。
深みのある赤髪の少女に黒髪の少年
(まさかあなた達にも遭うなんて)(ああやっぱりこの世界は嫌い)
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