7日の彼女;stage of the conviction 前編

花形と久々に飯を食べていたときのことだ。

「藤真、そういえば最近名字さんとはどうなんだ?」
「え?どうって何が。」
「いやさ・・・
「なんだよ。はっきり言えよ」
「・・・ほら。その付き合ったりとかしてるのかなって・・・」
「なんだ。そのことか。」
「じゃ、じゃぁ付き合ってるのか?」
「・・・なんでそうなるんだよ。付き合ってないよ」

夏祭り以降も俺たちの関係に特に変化はなく、仲のいい友達のような感じだった。
そんな俺の答えに花形は心底驚いた顔をしている。

「なんだよ。そんなに驚くことか?」
「いや、てっきり付き合っているのかと・・・」

まぁ。俺だってかなり名字さんのこと意識はしてるよ?
けどな、これまで長く続いたことはないってことがあって付き合うとかそういうのには、少し慎重になってる。
今まではバスケバスケで振られてきたわけだけど、これからバスケはしても趣味程度。
そんなに慎重になる必要ないのかもしれないけど、どうしてもな・・・。

「まぁ、別に名字さんのこと気にならない訳じゃないんだ。ただ確信が持てないからな・・・」
「・・・そう、だよな」
さすがに付き合いの長い花形だ。
俺が何が言いたかったのか分かってくれたみたいだった。


俺は、タイミングを見計らって話題を変えた。

「何人位になるんだろうな?」
「ざっと20って所じゃないかな。」

昨日、湘北の赤木から電話を貰った。
今度、翔陽・湘北・海南・陵南のやつらでバスケをしないかという誘いだった。
発案者は桜木らしい。
まぁ俺ら大学組が卒業するとさらにバラバラになってなかなか会えなくなるし、もってこいの話で俺たちは快く快諾をした。

「そういえば友達や知り合いも呼んでいいって言ってよな。」
「そうだな。花形は浅海を呼ぶんだろ?」
「ああ、どうせ話をしたら来たいと大騒ぎするさ」
「だよな。」
「・・・藤真は誘わないのか?」
「え?」
「名字さん。誘ってみれば?」

名字さんかぁ。確かに俺のバスケ姿を見てもらいたいけど、高校の時も試合を見に来てた様子もないしなぁ。
そもそもバスケを見たいといってくれるだろうか・・・。


***

俺は花形と別れて家に帰る間考えていた。
名字さんを誘うべきかいなか・・・・。
考えた末、俺が出した答えは・・・

『・・・それでさ、高校の時のバスケ仲間と体育館を借りて試合することになったんだ』
『へー、楽しそうだね!』
『だろ?・・・あのさ、よかったら名字さんも見に来ない?みんなも知り合いとか誘うって言ってたし、浅海も来るしさ!』
『浅海さんも?うーん、なら行ってみようかな・・・?』

そう。誘うという答えだった。

『・・・それで、その試合の日っていつなの?』
『10日だよ。』
彼女は、俺が日にちをいった瞬間。急に黙り込んだ。
やっぱりバスケの試合ってのがまずかったのか?
とりあえずわけを聞いてみるか・・・。

『名字さん、どうかした?』
『・・・藤真君。』
『ん?』
『・・・さっき行くっていったんだけど、やっぱり無理かも・・・。その日採用試験の結果が出る日なの。』
『そっか。いや、いいんだ。もし・・・とおもって誘ってみただけだからさ』
『ホントにごめんね。先に日にち聞いてから答えばよかったね。』
『いや構わないよ。そっか試験の結果が出るのか!いい結果だといいな』
『うん!これで来年どうなるか決まるしドキドキだよ』

そのあと少し雑談して俺達は電話を終えた。
さすがに就職がかかった話だもんな・・・仕方ないよな。

***

そして、集まりの当日。
俺は、花形と長谷川。そして浅海と一緒に湘北の体育館へと向かっていた。

「名前ちゃんもこれればよかったのにね。」
「そうだな。」
「ん?名前ちゃんて?」
「ほら、名字さんだよ。藤真の斜め後ろに座ってた。」
「ああ、あの子か。」

体育館へ着くと来ていたのは湘北の面々だけだった。

「なんだ、まだ湘北の奴らしか来てないのか。」
「藤真。来たのか。」
「よぉ赤木。誘ってくれてありがとな」
「いや。忙しくなかったか?」
「ああ。俺も花形も一志も進路の方はもう決まってるし。問題ない」
「そうか。ほんとにあのバカが急に言うもんだから・・・」
「まぁまぁいいじゃないか。桜木も気を使ってくれたんだろ?」
「・・・そうだな。」

そういい赤い頭の桜木を2人で見る。
少したってから”じゃぁ俺は軽くストレッチでもするから”と赤木に言うとその場から離れた。
その後、海南・陵南の奴らもきて軽く挨拶を済ませていると・・・


「なぁーもう始めようぜ?ゴリ。」
「なにをいう桜木。我慢せんか!」
「そーだそーだ!少しくれぇ待てねぇのか?花道は」
「そうよ!桜木花道!少し落ち着きなさい!」

湘北の面々がもめ始めた。
仙道の奴が来てないから始められないと言う事らしい。
それから暫くすると相田と一緒に入ってきた仙道により、このもめ事は解決し、


「じゃあ、それぞれ着替えたら集合だ!11時には試合開始だ!」

赤木がそういうとそれぞれ部屋に入り着替えを始めた。

TOP